2009年6月21日日曜日

ベトナムのガスにシェブロンが40億ドル

ベトナムのガスにシェブロンが40億ドル
HPは下記ドメインです。YouTube動画,写真地図など見て下さい。
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来年,2010年5月に選挙を控えるフィリッピンのアロヨ大統領が,静かに日本を訪問している(注1)。フィリッピンと日本の関係で私の視点は,日比の経済連携協定(EPA)に関連して,果たしてフィリッピン人の日本の労働者社会への溶け込みが円滑に行くのかどうか,と言うことだ。少子高齢化は,ODAの推進によるアジア全体の年齢構成で解決できないか,と私は言っているが,そのフロンティアにいるのが,フィリッピンだ。

今日はベトナム以外の話題をピックアップしようとしたが,シェブロンが,ベトナム沖の天然ガスに40億ドル投資,を発表し,日本の三井石油開発も関係していることから,この記事のインパクトが強かった。今日は,アロヨ大統領の話から,このベトナム沖を一つの地図で眺める機会が少ないので,その地図を見ながら考えてみた(注2)。ベトナム沖と言うのは,メコン河の流域面積が大きいだけに,その大陸棚は発達している。

ここにベトナムの天然ガスが,東南アジアの他国に先駆けて開発された原因を見るような気がするが,連なっているカンボジア沖,タイ沖などに比べると,その面積は極めて大きい。マレーシア東沖の大陸棚と繋がるかのように,南に延びているのが分かる。天然ガスが重要になってくるに従って,カンボジアとは,おそらくこれから大いに海域問題が,持ち上がってくるだろう。タイとカンボジアの間では既に紛争となっている。

ベトナム東方,フィリッピンとの間の海域は深いが,フィリッピンが力を入れているパラワンのマランパヤガス田は,ベトナムの大陸棚と対峙しており,その海域を繋ぐ南沙諸島が,フィリッピン,ベトナム,中国の大陸棚を結ぶ重要な拠点,と言うより,第2次の大陸棚として存在価値が大きいことがよく分かる。浅瀬を掘り尽くした数十年後には,この南沙諸島が,東南アジアのエネルギーの最大の争点になりそうだ。

インドネシアのカリマンタンの北端,ダトウ岬から北北東120kmの地点の辺りに,今話題となっているインドネシアのナツナガス田があり,その北北東290kmには,今日の話題のベトナムのガス田がある,まさに至近距離で,小島が連なっている。ナツナの西方にはインドネシア領のアナンバス列島を経て,マレーシアの大陸棚までは,アナンバスの大陸棚から僅かに70kmである。

天然ガスは地球上に何処でも存在する,ただ深いか浅いかの違いだけだ,と言う私の意見を後押ししてくれる人はあまりいないが,経済成長を遂げると必ずガスが出る,日本の例外を除いては,少なくとも東南アジアでは真実に近い。日本はガスが安く買えるから,近傍のガス田に興味がないだけのような気がする。ここまではある人達が付いてきてくれるが,私が天然ガスはマグマから無限に供給される,と言った途端,周りに人がいなくなる。

(注1) http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090621AT2M2002D20062009.html
(注2) http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

本文

●ベトナムの沖合ガス田にシェブロンが40億ドル投入

Chevron Corp. may begin work on a US$4 billion offshore natural gas project in Vietnam by August, said the company’s top official in this nation, seven years after the plan was proposed by the now-acquired Unocal Corp. The project’s economics are based on developing about four trillion cubic feet, according to Hank Tomlinson, Hanoi-based president of Chevron’s Vietnam unit.

2009年3月4日の記事を見ると,ベトナムの天然ガスの大要が見える。ブロックBで知られているベトナム南部沿岸の西南部の沖合ガス田は,4~7兆立方フィートTCFのガス埋蔵量を持っていて,25年以上の発電所の運転に耐えられる量である。シェブロン(注5)が事業運用に当たっており,ペトロベトナム(注10)と政府を相手に,ガス配分量,パイプラインの所有権とそのルート,他の技術的な仕様について,協議を進めている,と。

60兆立方フィートの埋蔵,と言われるミャンマー西部沖のガスが,如何に規模が大きいかが納得できる。なお,ベトナムのブロックBで生産されたガスは,ベトナム南部,カントーに近いオモンに運搬される計画である,と。今日の記事は,シェブロン(注5)が,2009年8月までに40億ドルの大金の投資を,ここのガス生産に投入するという。UNOCAL(注7)がこの提案をしてから,7年が経過している。

シェブロン(注5)のベトナム担当,トムリンソン(注8)は,4兆立方フィートの包蔵を対象としての投資,としており,ペトロベトナム(注10)との価格交渉に大きく見通しを得たことを匂わしている。来月,2009年7月にも交わされる合意書を得て,エンジニアリング作業を開始すると。また,ペトロベトナム(注10)のタン総裁(注11)も,間もなく合意できることを確認している。

現在,ベトナム最大のガス生産企業であるBP(注12)は,ベトナムのガス生産はこの10年で3倍となり,タイを追い越した,と語っている。シェブロン(注5)は,今後20年以上の生産を期待しており,電力の20%増に耐え得るとしている。世界銀行(注13)の見方は,電力の伸びは年率16%を越すことも考えられると,また,水力も石炭もあるが,ガスを利用する余地は十分にあると。

シェブロン(注5)のシンガポール(注14)によると,生産を開始してから5年でピーク生産量は,日5億立方フィートに達する,と。これから開始するエンジニアリング作業は,プラットフォームの設計,井戸資機材,電気機械機材の設置,生活空間,を含むものである。2011年までに,エンジニアリングから建設までの入札を終了する,としている。最終的には,メコンデルタ(注15)までの380kmのパイプラインの建設が必要である。

2002年に,UNOCAL(注7),三井石油開発(注16),タイのPTT探査事業(注17)のグループが,2.5兆立方フィートの天然ガス発見,を報じてから,2005年にシェブロン(注5)がUNOCAL(注7)の資本を買いとったが,三井石油開発(注16),タイのPTT探査事業(注17)は依然として,プロジェクトのパートナーである。

シェブロン(注5)もペトロベトナム(注10)も,生産開始の時期は明言していないが,ベトナム投資情報(注18)は,最初のガスが発電所に到着するのは,2014年と書いている。ペトロベトナム(注10)のタン総裁(注11)自身は,2012年を生産開始と期待しているようだ。

(注)A (1) 090621A Vietnam, thanhniennews,(2) title: Chevron may begin work on $4 bln Vietnam project by August,(3) http://www.thanhniennews.com/business/?catid=2&newsid=49976,(4) Source: Bloomberg,(5) Chevron Corp,(6) offshore natural gas project,(7) now-acquired Unocal Corp,(8) Hank Tomlinson, Hanoi-based president of Chevron’s Vietnam unit,(9) Vietnam Oil & Gas Group,(10) PetroVietnam,ペトロベトナム,(11) Chairman Dinh La Thang,(12) BP Plc,(13) Martin Rama, Hanoi-based country economist for the World Bank,(14) Gareth Johnstone, a Chevron spokesman in Singapore,(15) Mekong Delta,(16) Mitsui Oil Exploration Co,(17) PTT Exploration & Production Plc,(18) Vietnam Investment Review,(19)

今日の参考資料

●090621A Vietnam, thanhniennews
ベトナムの沖合ガス田にシェブロンが40億ドル投入
Chevron may begin work on $4 bln Vietnam project by August
http://my.reset.jp/adachihayao/index090621A.htm
http://www.thanhniennews.com/business/?catid=2&newsid=49976

最近の関連資料

●090619A Vietnam, thanhniennews
ベトナムのEVNが2009年内に1,100MWの6発電所を投入へ
Six new plants set for national power grid link
http://my.reset.jp/adachihayao/index090619A.htm
●090220A Vietnam, vietnamnet
ベトナムのプロジェクト遅れに電力不足深刻
Electricity shortage remains serious as projects going slowly
http://my.reset.jp/adachihayao/index090220A.htm
●090304A Vietnam, glgroup,
ベトナムのオモンなどのガス火力開発
VIET NAM Electricity Needs Aiming at Being Met
http://my.reset.jp/adachihayao/index090304.htm

●海外関連連携ショップ
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2009年6月20日土曜日

ブラジルがアマゾンに6,450MWのダム

ブラジルがアマゾンに6,450MWのダム
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私自身は,アマゾン河の地図を眺める機会は余りない。余りにも巨大すぎてダム建設が出来ず,その意味では未開発の大河,とも呼ばれている。河口に於ける流域面積は,オーストラリア大陸と同じぐらいの,705万平方km,年平均流量は,毎秒22万トン,と書かれている。今日,話題となっているマデイラ川は,右岸の大支流で,全長3,380km,源流はボリビアのアンデス地方から来る。

マデイラ川は,アマゾン河口から約1000kmの左岸支流として西南方向に伸びて,ボリビア国境に達する。大平原の中を流れるため,水力開発は大変難しいと思われるが,本流と分岐してから800kmほど南西の地点で,やや様子を変えるようだ。ここにポルトベロという町があって,アマゾンの森林問題でよく出てくるロンドニア地方の西限の町だ。この上流に,二つのダムのうち,下流の,サントアントニオダムのサイトがある。

おそらくこのダムは,2km以上の長さを持つ低ダムの計画なのであろう。このサントアントニオダムのサイトから川沿いに120kmほど遡ったところに,ジラウダムサイトがある。この辺りの地図には,滝という表現が幾つか出てくるので,おそらく写真(注1)にあるような急流が出現するのだろう。この急流を幾つか乗り越えて120kmほど進むと,ボリビアの国境に達する。ボリビアの中にも,幾つかの水力プロジェクトがある。

ボリビアの西は,アンデス山脈が立ちはだかっているが,有名なチチカカ湖があり,この北にはペルーの山岳地帯に連なる。我々も,ペルーの南端の山岳地帯で,標高4,800mを車で走った経験がある。この裏がアマゾン河だ,言いながら呼吸を整え整え走ったものである。環境問題の,しかも気候変動と直結するアマゾンのダム開発は,果たして今後,円滑に進むのだろうか。人類はここでも戦っている。

アジアのメコン河は,流域面積でアマゾンの約10%である。それでも,多くの国が関係する難しい河で,先日も,余り犬の遠吠えみたいなことをしないで,上流,中国のダムの下流のための貯水池運用を話し合ったらどうか,と提案したが,昨日,2009年6月19日,バンコクに,中国も入れた沿岸国の閣僚が集まったが(注2),ダム問題には頬かむりで,物流を中心に話し合っただけのようだ。

(注1) http://my.reset.jp/adachihayao/iindex3newsSA.htm
(注2) http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20090619D2M1903919.html

本文

●ブラジル政府がアマゾン河の130億ドルのダム建設認可

Brazil approved on Wednesday an environmental permit for a hydroelectric dam in the Amazon, an official said on Wednesday, advancing a project the government hopes will shore up power supplies but critics call an ecological disaster. The environmental agency Ibama granted a consortium including the French utilities giant Suez the license to build the Jirau dam on the Madeira River, an Ibama spokesman said.
ブラジルのアマゾン河(注5),その中でも最長の支流,マデイラ川(注9)の上流のダム開発が,問題となっている。計画は壮大である。ブラジル政府の環境機関IBAMA(注6)が,2009年6月初め,認可を与えたが,河川環境に与える影響について,議論は絶えない。認可を得たのは,フランス籍の公益事業体SUEZ(注7)であり,対象は,マデイラ川(注9)上流のジラウ・ダム(注8)である。

ジラウ・ダム(注8)プロジェクトとその直下流のサント・アントニオ・ダム(注10)プロジェクトは,総事業費130億ドル,6,450MWで,このマデイラ川水力総合計画(注11)は,電力需要を満たすばかりでなく,ブラジルの農産物輸出のための重要な舟運ルートの開発に繋がる。これに対して環境グループは,河川の生態系を破壊するもので,政府は十分な対策を行っていない,と批判している。

決定の遅れの原因は,SUEZ(注7)とブラジル企業ODEBRECHI(注12)の間で,ダム位置について議論が起こったためで,告訴に至らず両者は互いに妥協した。SUEZ(注7)がプロジェクトを主導するが,ジラウ・ダム(注8)の開発には,国有公社ELETROSUL(注13),CHESF(注14)の他,ブラジルのコントラクター,カマルゴ(注15)が参加する。

(注)A (1) 090620A Brazil, eleconomista,(2) title; Brazil approves Amazon hydro-power dam,(3) http://www.eleconomista.es/telecomunicaciones-tecnologia/noticias/1301777/06/09/Brazil-approves-Amazon-hydropower-dam.html,(4) 4/06/2009 - 1:37Puntua la noticia,Nota de los usuarios: -( 0votos ) Imprimir,BRASILIA (Reuters),Reporting by Natuza Nery; Editing by Gary Hill,(5) Amazon,(6) Ibama,(7) Suez,(8) Jirau dam,(9) Madeira River,(10) Santo Antonio dam,(11) Madeira River Hydroelectric Complex,(12) Odebrecht,(13) Eletrosul,(14) Chesf,(15) Camargo Correa,(16) map and photo source: upsidedownworld.org/main/content/view/1203/60/,(17)
今日の参考資料

●090620A Brazil, eleconomista
ブラジル政府がアマゾン河の130億ドルのダム建設認可
Brazil approves Amazon hydro-power dam
http://www.eleconomista.es/telecomunicaciones-tecnologia/noticias/1301777/06/09/Brazil-approves-Amazon-hydropower-dam.html

最近の関連資料

●090309D Brazil, ecoworldly.com
ブラジルの環境対策改善で世界銀行が借款供与
The World Bank approved a loan to the Brazilian government for the improvement of environmental management programs
http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsSA090309.htm
●080924H Peru, livinginperu
ブラジルの Electrobras,ペルーで5つの水力開発へ
Brazil's Electrobras to launch five hydropower projects in Peru
http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsSA080924.htm

その他の南米関連ユース

●ギニアの大統領が水力資源の開発に力を注ぐと言明
President determined to have hydropower in Guyana
http://www.caribbeannetnews.com/news-15696--13-13--.html
●ブラジルとパラグアイがイタイプ水力で会談決裂
Brazil, Paraguay Fail To Advance Talks On Itaipu Plant
http://online.wsj.com/article/BT-CO-20090508-713376.html
●ブラジルとパラグアイの会談は6月のサミットで
Brazil and Paraguay could only agree on a new summit in June
http://en.mercopress.com/2009/05/09/brazil-and-paraguay-could-only-agree-on-a-new-summit-in-june

2008年10月31日金曜日

ベネズエラ,大規模な停電に襲われる

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ベネズエラ,大規模な停電に襲われる

ベネズエラ(注2),数度カラカスを訪れたが,余りよく知らない。石油が出て,強権のチャベス大統領(注3)が反米で,産業の国有化を目指して走ってきたが,昨年,2007年12月の憲法改正国民投票で新任されず,2008年11月の大統領選挙が,チャベス大統領の一つの山場である,と言う知識ぐらいか。調べてみると,国土面積91万6445平方km,人口2,537.5万人(2005年推計)で,首都はカラカス(注4)である。ベネズエラは総発電量のうち,68%を水力発電でまかなっている。カロニ川のグリダムはとくに重要なプラントである。

問題の石油については,今後追っかけて行くが,とりあえず次の知識。マラカイボ湖など西部地域でとれる石油はGDPの25%を占める。2002年の原油生産年間9.5億バレル(単純に割ると日260万バレル),推定原油埋蔵量は780億バレル,生産された原油の殆どは,オランダ領アンティルへ精製のため輸出される。また有数の天然ガス生産国でもあり,2002年の生産量は298億立方mであった。

2007年2月9日の記事(注1)で,「ベネズエラ政府,米AES保有の電力会社株を買収」,と題して,国有化を進めたことが書いてある。チャベス大統領の資源国有化政策に対しては懸念も強まっているが,AESのポール・ハンラハン社長兼最高経営責任者(CEO)は覚書の調印式で,買収はベネズエラの法律に従い,「公正な」手続きで進められたと述べた。ゆっくり経緯を調べてみよう。

さて今日の記事,大規模な停電である。問題は,2008年11月に行われる大統領選挙と密接に関わってくる。先週の日曜日,首都カラカス(注4)を含む人口緻密な地域を停電が襲った。チャベス大統領(注3)がまず発した言葉は,「電力会社の担当者は良くやった,早く故障を見つけ,早速に送電を開始した。」,という賞賛の言葉であった。更にチャベス大統領(注3)は続けて,送電網の増強には時間がかかり,国有化が原因とする声を,強く拒絶した。

停電は,日曜の朝に起き,全国の3分の一が影響を受けた。首都カラカス(注4)では1時間で回復したが,他の地域では2時間以上かかるところも出てきた。イズキエルド国家電力公社総裁(注5)がテレビで説明したが,負荷の小さい日曜日に,なぜ停電が起きたのか分からない,と言っている。前回2度の停電は,ウイークデーであった。

この停電が,2008年11月に行われる選挙で,与党のベネズエラ統一社会主義者党PSUV(注6)にとって大きな打撃となる可能性がある。電力会社は2007年以来完全な国有化となっており,チャベス大統領(注3)は,送電網改善のために,十分な投資を行うと約束してきた。チャベス大統領(注3)は,この事故は国有化のせいではない,15分で原因を見つけた電力担当者は,これは効率化の見本だ,と強弁している。

(注) (1) http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-24653620070209,(2) Venezuela,(3) Venezuelan President Hugo Chavez,(4) Caracas,(5) the head of the state electricity corporation, Hipolito Izquierdo,(6) United Socialist Party of Venezuela (PSUV) ,(7)

●ペルー,スイス企業に188MWルトマール水力,委託

ペルーのエネルギー鉱業省(注7)は,スイスのスイスハイドロ(注7)に対して,188MW,レタマル水力プロジェクト(注8)の可能性調査FS(注9)を12ヶ月間で行うことで,委託した。場所はクスコ(注10)のウルバンバ県(注11)のマチュピチュとオランタイタンボ地区(12)にまたがる。この調査の中には技術,安全,環境の他,国の文化財の保全に関わる調査も含むもので,電力委託法(注13)に基づく。

地図を開いてみると,クスコ(注10)の北,マチュピチュとオランタイタンボ地区(12)の間にあるとすれば,このマチュチュピの世界遺産に近く,この遺産や観光資源への影響が大きいので,スイスのコンサルタントに委託したのだろう。

(注) (7) Switzerland's Swiss Hydro,(8) 188-MW Retamal hydropower project,(9) a feasibility study,(10) Cusco,(11) province of Urubamba,(12) the Machupicchu and Ollantaytambo districts,(13) the Electricity Concessions Law,(14)

Reference

●081024E Venezela, news.bbc.co.uk
ベネズエラ,大規模な停電に襲われる
Venezuela suffers big power cut
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7679492.stm

●081024F Peru, livinginperu
ペルー,スイス企業に188MWルトマール水力,委託
Peru grants Swiss Hydro concession for 188-MW Retamal hydro project
http://www.livinginperu.com/news-7625-miningenergy-peru-grants-swiss-hydro-concession-188-mw-retamal-hydro-project

2008年10月9日木曜日

気候変動会議の中南米報告

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気候変動会議,南米諸国は問題は少ないが影響は大きい

スペインのバルセロナで開かれている気候変動会議 Climate Change World Conservation Congress で,Pamela Cox, the World Bank’s Vice President for Latin America and the Caribbean,女史が報告した,中南米に於ける気候変動問題の要約である。世界全体に比べて,温暖化に対する問題は少ないが,地球全体から受ける影響は非常に大きい,との趣旨で,中南米諸国の対応を説明している。

ラテンアメリカとカリブ海沿岸諸国を地域として扱っているが,数字を中心に要約する。地域の温暖化ガス排出量は世界全体の6%で,年大輪喪失を入れても10%で小さいが,特に貧困層などへの温暖化による影響は大きい。

]地域諸国の中で,Brazil, Colombia, Ecuador, Mexico and Peru の5つの国は,特に世界の10指に入る生物多様性の国で,特にアンデス山脈の東側である。ラテンアメリカの熱帯林は,世界の50%で,生物量,バイオマスに直すと65%に達する。

地域の主要な気候変動要素は次の通り。アンデスの氷河融解で10~20年後には全部なくなるだろう。Bolivia, Ecuador, Peru での河川流量への影響は大い。アマゾンの熱帯林は,2~3度の温度上昇で,20~80%失われ,砂漠化の影響は北米まで達するかも知れない。その他,マラリアやデング熱
の疾病の問題や,珊瑚礁の白色化による魚類や観光への影響が出るだろう。

ラテンアメリカは,水力のポテンシャルが大きく,石炭火力への依存が少ない。2004年に於ける世界の発電量の中で,地域の占める割合は6%であるが,温暖化ガス排出では3%である。地域のエネルギーの11%が水力で賄われているが,世界の発展途上国の平均は3%である。地域の包蔵水力は687,000MWで,その26%が2015年までに開発される。

交通運輸の面でも,世界平均に比べ,ガス排出は少ない。注目すべきは,サトウキビによるバイオ燃料,エタノールの生産の可能性で,ガソリンの90%まで大体可能であろう。丘の斜面で育つので,土地利用や食物への影響は,限られている。

温暖化適応プロジェクトでは,世界銀行が承認した二つの Climate Investment Funds (CIFs) と US, Japan, UK, Germany, France and other European countries の貢献で,60億ドルの予算がプレッジされている。

Reference

●081009G South America, web.worldbank.org
気候変動会議,南米諸国は問題はない,局部的な問題のみ
Climate Change World Conservation Congress “Latin America is not the problem but part of the solution,” VP Pamela Cox http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/NEWS/0,,contentMDK:21932327~pagePK:34370~piPK:34424~theSitePK:4607,00.html

2008年9月25日木曜日

ブラジルの Electrobras,ペルーで5つの水力開発へ

これから一週間に一度,中南米のエネルギー問題を扱うことにしました。久しぶりのペルーの情報で懐かしい。過去の記録を見ると,1998年8月にペルーを訪ねている。その時の写真を見て下さい。JICAにいるときに,フジモリ大統領が実現して,私の周囲も大いに盛り上がっていた。しかし,1996年,私が日本に帰った直後に,ゲリラによる日本大使館占拠事件が起こって,ODAも殆ど動かなくなってしまった。
http://my.reset.jp/~adachihayao/PeruB.htm

それでも,時々,ペルーで発電所建設を続けるJパワーの友人からメールを貰ったりして,すごいなあ,と敬服していたものである。それは Yuncan 水力プロジェクトで,JBICの円借款が関わったものだが,今それを紐解いている。もう友人も帰国したと聞いているので,無事に完成しているのだろう。地図で見ると随分アンデスの山奥である。

Yuncan 水力プロジェクトは,パスコ県パウカルタンボ町にあって,ペルー北東部のアマゾン川支流ウアチョン川及びパウカルタンボ川に計画されている一般水力発電計画。ウアチョン川には取水ダム(ウチュウエルタ・ダム)を,パウカルタンボ川には調整池ダム(ウアジャマーヨ・ダム)を建設し,これら二つのダムと発電所を延長約20kmのトンネルで結び,両河川より最大毎秒30トンの水を取水し513mの有効落差を利用して出力130MW,発生電力量約900GWhの発電を行う,と記されている。

ペルーの電力事情。少し古い,Jパワーのメモを見る。1998年の発電電力量は,18,552,700MWhであり,その内訳は,水力 137億8,770万kWh(74%)火力47億6,510万kWh(26%)であり、水力発電に大きく依存している。また、電気事業者の発電電力量は167億9,140万kWh(91%)、自家発の発電電力量は17億6,140万kWh(9%)となっている。

今日の記事。今,ブラジルの Sao Paulo で開かれている ExpoPeru 2008 に出席したペルーの minister of energy and mines, Juan Valdivia がブラジルの国家電力公社 Electrobras と話し合い,Electrobras のペルーに水力への投資が決定した,と,Ministry of Energy and Mines (MEM) から発表があったものである。

全体的には,10の大規模水力プロジェクトが協議されており,そのうち5つに於いて,投資が具体化した,と言うことで,Peru’s vice minister of energy, Pedro Gamio が調印に当たった。その中でも特に記すべきものは,Inambari Hydroelectric Power Plant in Madre de Dios が20億ドル,1,355MW,Paquitzapango Hydroelectric Power Plant in Junin が,1,379MWである。いずれも2014年運転開始を目指している。

位置を調べてみたが,不正確。この地図を見て下さい。
http://maps.google.com/maps/ms?ie=UTF8&hl=ja&msa=0&msid=115815940617368731276.000457b0bea947bbdd6cb&ll=-5.266008,-65.917969&spn=75.202753,111.09375&t=p&z=3

Reference

●080924H Peru, livinginperu
ブラジルの Electrobras,ペルーで5つの水力開発へ
Brazil's Electrobras to launch five hydropower projects in Peru
http://www.livinginperu.com/news-7443-miningenergy-brazils-electrobras-launch-five-hydropower-projects-peru